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リョーマが可愛過ぎてすっかりスルーしてたけど、透は私よりも先に気づいたんだね。
さすが腐女子!!(※褒めてません)
第12話
夕飯はすごく豪勢なものだった。
私たちの母と倫子さんで作ったらしいけど、本当にすごかった!
だって、うちらの母は普段あまり料理しないんだよ?
笠松さんとか、コックに任せてるんだよ?
なのにめっちゃ凝った料理ばかりが並んでた!(しかも濃すぎず薄すぎずで、美味しいんだ!)
やっぱり、母すげー!
「御馳走様でした」
「ごちそさま、で、した」
「御馳走様でした!」
私の後に続いてリョーマが御馳走様をし、それに続いて透も御馳走様をした。
私たちは満腹で、リョーマも満腹みたいで。
すごく眠そうに眼をとろんとさせていた。(ああ、可愛いw)
「リョマ、眠い?」
「…ん……」
目元を手でこしこしと擦りながら、何とか起きようとしているリョーマ。
でもやっぱり眠気にはかなわないみたいで、少しするとスーッと小さな寝息が聞こえてきた。
私は穏やかなリョーマの寝顔にクスッと笑みをこぼして、その頭を優しく撫ぜた。
「あれ?リョーマ寝ちゃった?」
「うん、寝ちゃった。本当にリョマ可愛いよね」
「ははっ、伊織は本当にリョーマ好きだね」
「だって可愛いんだもん!」
寝息を立てだしたリョーマに気付いた透が顔を覗き込んで私に聞いてきた。
「そういう透だって、リョマのこと可愛がってるくせに」って言ったら「まぁ、可愛いからね」とのこと。
幼児って愛されるための生き物だもんね。
透は寝てしまったリョーマを見て、両親たちの所へ報告に行った。
「お父さん、リョーマ寝ちゃったよ」
「リョーマ君寝ちゃったか。先輩、どうしますか?」
「あー?大丈夫だろ。その辺に寝かしといてやってくれや」
「その辺にって……まったく」
南次郎さんと晃さんの話し声も、なんとなく小さい。
そういう私も、リョーマを寝かすためにこちらにきた父に、出来るだけ小さな声で話しかける。
「お父さん、どこに寝かせるの?」
「……ソファ、かな」
そう言ってリョーマを抱き上げようと父が腕を伸ばしてリョーマを浮かせた。
その時、私の服の裾を何かが引っ張った。
?
私は、なんだろう?と引っ張られた服の裾へと目を走らせると、そこには小さな手。
ぎゅっと私の服をつかんで離さない小さな手。
リョーマの手だった。
「あー、リョーマ君つかんで離さないね」
「……うん」
「仕様がないから、伊織の部屋で一緒に寝てあげなさい」
「わかったー」
「透ちゃんも泊っていくかい?」
「んー…」
「透、今日は帰ろう」
「はーい」
私を肩にリョーマを腕に乗せて、父は私の部屋へと階段を上って行った。
透も母親と一緒に家へと帰っていく。
「じゃーね、透!」
「うん!また明日!」
父の肩からバイバイと手を振って、視線を前に向ける。
父の肩の上から見る景色はいつもと違っていて、すごく楽しい。
視線が高いのがこんなに楽しいことだと、この時初めて私は知った。
自然、顔に笑みが広がって、それを見た父がなんだか嬉しそうにしていたのに私は気付かなかったけど。
父は部屋に入ると私とリョーマをベッドに寝かせて、私の額の髪を除けると、ちゅっとキスを落として部屋から出て行った。
いつもやってる、お休みのキス。
今日はリョーマが隣にいるから、なんだか気恥かしかった。
続
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