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「私たちはどうなるんですか?」
私は椅子に腰掛け壮年の男性、神を見据えて問い掛けた。
第5話
私たちがどうなるか。
これからどうすればいいのか。
私たちのこれからは、この目の前にいる神に委ねられてる。
神を睨み付けてる私に、透はおろおろと2人の顔を交互に見ている。
未だ何が起きているのか分からずに、目の前で起きていることに戸惑っている。
神は、ふむ、と顎を擦りながら思案するように目線を下げて私を見つめた。
「さて、どうしようか。こんなことは滅多に無いからね」
そう言ってふわりと笑った。
それを見た私は眉根を寄せる。
何笑ってんだ、このオヤジ。
神様相手になんて口の聞き方かと言われるかもしれないが、そんなこと知ったこっちゃない。
こんな時に笑う奴があるか!
私はますます相手を睨み付けるように見つめた。
神もそんな私を見てますます笑顔になっていく。
・・・こいつ、性格悪い!
文句を言ってやる!と意気込んだ瞬間、今まで黙っていた透がおずおずと口を開いた。
「あの、私たちってどうなったんですか?なんでここに?ここは何処ですか?」
そう言えば透は知らなかったんだった。
「ここは天界。神の住まう場所だよ」
「神?ってあの神様のこと?」
「どの神様かは分からないけど、とりあえず目の前にいるその人が神様だよ」
神様、透、私の順に口を開く。
透は理解しきれてないのか、ぽかんと口を開けたまま呆然としている。
当然といえば当然の反応か。
私は透のもう1つの問いにも答えるべく口を開く。
「私たち死んじゃったんだって」
「は?」
今度もぽかんと口を開けたままこちらを見た透に視線を合わせてもう1度告げた。
「私たち、死んだんだよ。バスが交通事故起こしたんだって」
「え?え?だって、え?私、死んだ?だって今、あれ?・・・・・・死んだの?」
本当に?
言外に問われた。
私はその問いに首肯しかできない。
泣くかな?
そう思ったのに、予想外にも透は泣かなかった。
「じゃあ、私たちって何?何で今ここにいるの?」
それは―――――
私は答えようとしたが、すぐに口をつぐむ。
神が手をあげて私が話すのを制したからだ。
「それは私から話そうか」
それだけ言って口を閉ざし、幾分か考えを巡らせたのか、私たちに語った。
私たちが知らない、私たちに起きた出来事を。
続
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