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第23話 reincarnation

立海大付属中学校。
入学式。
クラス分け。


隣の席の幸村精市。

つくづくご都合主義だった。(私的にはグッジョブ神様!なんだけどさ)






第23話







偶然(本当に偶然なのか?)同じクラスになった幸村精市ことゆっき。
あの恐怖の試合から約1か月はテニススクールに通いづめで試合しまくっていた。
向こう(アメリカ)にいた時すらこんなに試合しなかったのに。
………リョーマ、このこと知ったら拗ねそう。

あの日から毎日のように真田や幸村の相手をしたからか、あの試合よりも着々とまた強くなっている自分。
もう、いいっす。
もうこれ以上強くならんでいいっす。
普通の女の子のレベルでいいっす。(哀)

つくづくご都合主義なのか、それとも実はもとからそういう才能?があったのかは分からんけどさ。

リョーマ=透<弦一郎<私<ゆっき

何この構図。
何この恐い食物連鎖の逆ピラミッドみたいな構図。
…あれだね、恐怖を感じるね。
しかも私がゆっきのエサみたいなこの配置。
素晴らしいですよね、わかりますよ、わかりますとも!!(号泣)

諸注意を話し始めた担任の先生。(鈴木だってさ)
見た感じ熱血ってわけでもやる気がない感じでもない。
何処にでもいるような普通の先生だ。
まぁ妥当だね。熱血じゃなくて良かった。


「あと、最後に。部活動は必須だからなー。ちゃんと来週末までには入部届けを顧問の先生に提出するように。以上!」


………何――――――!!?
そうだっけ?
そうだっけ!?
この学校ってそういうところだったっけ!!?

まさかのどんでん返しだ。
帰宅部に入ろうと思っていたというのに!(くぅっ)

頭を抱えて机に突っ伏した伊織を訝しげに幸村がうかがう。
それに気づきもせずに、伊織はうんうんと呻っていた。


「……っ、伊織っ!」
「ぅわはい!」
「…どうしたの?気分でも悪くなった?」
「や、ややや、何でもないですよ」
「………本当に?」
「もちろんでっす!!」


元気よく返事はしたものの、まだ顔が引きつってるのがわかる。
あー、失敗した。見逃してくれないかな?

そう思っていたら、幸村も譲歩してくれたのか何も聞かずに「そう」とだけ言って笑ってくれた。
ああ、和むなー。
やっぱりゆっきはいいね、癒し系だね。


「で、伊織は何部に入るの?もちろんテニス部だよね?」


爆弾を投下してくださいました。
否、むしろ鎌で首をスパッとヤられた気分ですよ。

ふふふ。


にゃ―――――――――――!!!!!!





「伊織!逃げないでよ!」(笑顔)
「逃げもしますよ!!」
「何部に入るか聞いただけだろう?逃げることないじゃない!」(笑顔)
「にゃ―――!!透―――――!!!」



 ズダダダダダダダダダダダッ


すさまじい音をたてて隣の教室に向うも既にそこに透の姿はなかった。
にゃ―――!!
透が!透がいない!!
どこ行ったんだよ透ー!!

すぐにまた走り出した伊織と伊織を追いかけ続ける幸村。
何とか振り切ろうと走りながら考えるも、校舎の構造を知らない伊織には外へ逃げるという選択しか浮かばなかった。

昇降口まで全力疾走!
すさまじいスピードで上履きから靴に履き替える!
そしてまた脱兎の如く外へと飛び出した!
そしてそんな伊織を同じくらいのスピードで、しかも若干余裕そうに追いかける幸村!

恐いぃぃいいいいいい!!!

 
あ!前方にテニスコート発見!!
な!?前方に弦一郎と透発見!!!

弦一郎め!透を誘ってテニスコートに来ていたのか!!


確か、弦一郎と透は違うクラスだったと思う。
しかも私は誘わないのに透は誘うとか!(たるんどる!!)


「透――――――――――!!!」
「ぅわあ!」
「!伊織ではないか。女子たるもの走るでない!はしたないぞ!」
「やー!透、透ー!」
「おお?ど、どうした?伊織??」
「ぅぅぅう……ゆっきが恐い、恐いー…」
「伊織?誰が恐いの?俺が成敗してあげるよ」
「っ!………ゆっき」
「ん?」
「…………………な、なんでも、ないっす。はい。」
「そう?残念だな」


あ、悪魔の子だ!
ゆっきは絶対に神の子じゃない!悪魔の子だ――!!

必死に透にしがみつく私を宥めるように透が背中を撫でてくれる。
…うー。

段々と落ち着きを取り戻してきた伊織は、しがみつく力を少し弱めた。
そして未だに柔らかく笑んだままの幸村へと視線を向けて、少し睨む。


「…威嚇?」
「伊織、野生の小動物に見えるよ」


幸村が楽しそうに、透が少し笑いをこらえて言った。
弦一郎はいまだにこの状況を分かってないのか、眉間に皺を寄せている。

うー、野生動物なんかじゃないやい!!





「それにしても、どうしたの?何かあったの?」
「…透は知ってた?」
「何を」
「……部活動必須って」
「そりゃ、知ってたよ」
「………(ガーン)」
「………伊織知らなかったの?」


少し呆れたような、笑いをこらえているような変な顔で透が聞いてきた。
それに私は首を縦に振るしかなくて。
だって!
そんなことすっかり頭から抜け落ちてたんだよ!
1か月もあんなこと(テニス)ばっかりやってたんだからな!!

う~……帰宅部に入ってゆったりとした午後を楽しもうと思っていたのに!
テニス以外に趣味を見出そうと思っていたのに!!(テニスも趣味の範囲内)


「まぁ、諦めなよ」
「………仕様がないか」
「あ、そうだ!伊織!」
「何?」
「私と一緒にテn「嫌だ」……最後まで言わせてよー」
「……わかった、最後まで言いなよ」
「私と一緒にテニス部に入ろう!」
「…………女テニ?」
「ううん、男テニのマネージャー!」
「断固拒否する!(どーん)」


一刀両断されて、さすがの透も一瞬ぽかんとしてしまっている。
隣の真田も幸村もあっけにとられてこちらを見ている。


「え――!!」
「何と言っても意見は変わらん!断固拒否だ!!」


少ししてハッと我に返った透が抗議の声を上げるが、それでも私の意見はわからない。
断固拒否だ!


「いいじゃん!何でダメなの!?」
「面倒臭い!」
「大丈夫だよ!伊織なら!!」
「面倒臭い!」
「私もいるし!」
「……ぬぅ」


…そ、そりゃ嫌なわけじゃないけどさ。
嫌なわけないけどさ!
透と一緒なら楽しいだろけどさ!!

怯んだ伊織に畳みかけるように透は餌を目の前に釣り下げる。


「私もいるし、精市もいるし、弦一郎もいるよ!」
「…ぅう……でも」
「赤也もいるよ(ボソッ)」
「………!」
「(ええい!)仁王もいるよ!」
「入る!」
「えー!?おまっ!」
「人間、欲望には勝てないもんだね」
「何悟ってんの!?」
「仕様がないよ、私だもん」
「……はぁ、まあいいか」


唐突に意見を翻した私に、自分の意見が通ったけれどもなんか納得いかない、と透がぶつぶつ言ってる。

即座に突っ込まれたけど、気にしない!
仁王と赤也を出されたらもうダメでしょ。
勝てるわけねーじゃんよ!


「一緒に頑張ろうね!」
「おーう」
「やる気が見られんぞ!」
「いいんだよこれが私なんだから!」


というか、男テニのマネージャーってそう簡単になれるのか?







 

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