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第22話 reincarnation

私と透は並んで門を見つめていた。

なんだこれ、でか…!

2人の気持ちはもちろんシンクロしたことだと思う。

そう、立海大付属中学校の門である。







第22話







「……大きいね」
「てか、ねーわこれ」
「声が大きい!」
「透の方がでかい!!」


両親に聞かれていたらフォローしようもない言葉の応酬。
でも私達はそんなこと関係ないといわんばかりに言い合っていた。(一応小声なんだよ!)

今日はこれから入学式が始まる。
正直入学式とか面倒臭くて仕様がないのが本音だがサボるわけにもいくまい。
父なんて昨日なかなか寝付けなくて、寝不足なんだぞ!(子供か!!)

私と透、そして私たちの両親は(伊織の両親は一時帰国)、透は寿が、伊織は笠松が運転する車で一緒に学校まで来ていた。
寿と笠松は私たちを北門に置いて、車を駐車しにいっている。
ちなみに家の車も透のとこの車も、ベンツとかリムジンとかそういうものじゃない。(そんなの恥ずかしすぎる)
シックな感じの昔風な車だ。
こういうのなんて言ったっけ?(まぁ可愛いからいいか)

その車に乗って、それでは少々お待ち下さい、とは笠松の言葉だ。
スイーッと車を動かして2人と2台は駐車場へと向けて行ってしまった。


それにしても大きな学校だな。
知識としては知っていたけれど、ここまで大きいとは思ってなかった。
頭の中と現実じゃ違いのギャップが凄過ぎるよ!

確か、立海大付属中学校は敷地内に高校もあるというから驚きだよね。
近くに大学まであるらしいとの透情報もばっちりである。
 
それにしても本当に大きい。
本当に大きい。
これからここに通うのか。


…………迷子にならないといいな。(もちろん透が)


伊織は一抹の不安を抱えつつ、目の前にそびえる校舎と透を交互に見つめた。
迷子になったら携帯で呼び出せばいいのか。そうか。
そんな失礼なことを考えていると、透もいささか不安になったのかチラとこちらを見てきた。

迷子になんてなるなよ。
…な、ならないよ!
本当に?
…………多分。

本人がそういうなら大丈夫なんだろう。
アイコンタクトを終了させて再び校舎を見た。
古い校舎だ。
さすがは立海大付属中、伝統があるだけはあるな。

それから笠松と寿も加わって、一緒に体育館へ校内を歩く。
見れば見る程大きい。
というよりも広い?のか。
建物が大きいのに圧迫感がないのは敷地が広いからか。

この金持ち学校め!!


「すごいね、立海」
「さすがだね、立海」
「ここに私達も通うのかー」
「青春学園とか恥ずかしい名前じゃなくて良かった」
「それは……切実な問題だよね」
「青学の人たちはよく我慢が出来るな」
「それは言っちゃダメなんだよ、伊織」


伊織と透はボソボソと秘密の話をするかのように小さな声で話をしている。
そんな2人を優しい笑顔で眺めながら、雅人たちはこれからについて話し合っていた。

…眼差しが生暖かいよ、父!





「それでは、以上を持ちまして入学式を閉式させていただきます」
『新入生退場』


理事長の言葉を最後に、今まで経験してきた中で一番眠気の来ない入学式が終了した。
理事長も校長も、話が面白い!
伝統のある学校だから堅っ苦しいのかと思ってたけど、そうでもないんだな。

放送用のスピーカーから聞こえてきた声に従って、新入生たちはこの場を去っていく。
私も例に漏れず、静かにその場を去った。

入学式はクラス順に座ることが決まっていたみたいで、透と離れてしまった。
その時点で同じクラスになることはないと気付いたのは少し残念だったけど、席着いた時に斜め前あたりに座っていたのできっとクラスは近いだろうと思う。(遠くても遊びに行くけどね!)

退場した後はそのままクラスへと向かった。(私は1-C、透は1-Bだった)
諸注意とか来週から始まる授業についての説明があるらしい。

クラスについて席に座る。
席は決まっておらず、好きに座っていいとのことだったので、私は迷わず窓際の前から3番目の席に座った。
普通窓際の一番後ろを狙うだろうと思われるだろうが、私は3番目が好きだ。
一番前はプリントとかいろいろ大変だし、一番後ろもプリントとかいろいろ大変だし。(そこ!面倒臭がりとか言っちゃダメなんだよ!!)

面倒臭いからなんだけどね!

その席に座り窓の外を眺める。
一年生の教室は一階だから空が遠いよぅ。
今度屋上に行ってみようかな。
そんなことを考えていると、隣に誰かが座った気配がした。

男女気にせず好きに座っていいって言ってたけど、誰が隣に来たんだろ?
…苦手な性格の人だったら嫌だなー。


「や、伊織」
「っ、ゆっき!?」
「同じクラスだったんだね」
「おわぁー…ゆっき、同じクラスだったんだ?(恐えー)」
「伊織、嬉しいでしょ?」
「!う、嬉しいです!!」


隣に座ったのは、神の子と謳われる幸村精市さんでした。

ゆっきはあれだね。
なんていうかもう、アレだよね。





 

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