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「は?」
晴れ渡った空に、私の間抜けな声が響いた。
第36話
目の前にはにっこにこな湯沢部長。
そしてその後ろにそっと寄り添う、伏見副部長。
その伏見副部長の私を見る目が、なんだか憐れんでいるように見えるのは気のせいですかね?
「えっと、湯沢部長。もう一度言ってもらえますか?」
「うん、いいよ。今週末、練習試合をすることになったんだ」
「・・・今日、金曜日ですけれど」
「そうだね。金曜日だね」
「・・・」
そんな笑顔で言われても!
今週末って、明日ですよね!?明日なんですよね!??
・・・・・・そんな無茶な!!
にこにこした笑顔をたたえている湯沢部長の後ろの、伏見副部長をもう一度見るが、やはり副部長の目が私を憐れんでいるようにしか見えない!!
ちょ、本気なのか!!
「そんな!無理ですよ!!」
「無理じゃないよ」
「だって、明日でしょう!?無茶ですって!」
「大丈夫大丈夫」
「どっからそんな根拠が・・・!!」
「だって練習試合を申し込んだの、先週だもの」
湯沢部長は、必死に言い募っていた私に爆弾発言かましてくれやがりました。
一瞬、湯沢部長に対して殺意がわいたのは、仕方のないことだと理解してもらいたいものです。
「なんで、私たちに言ってくれないんですか!」
せめてマネだけにでも言っててくれればいいものを!
部長に詰め寄って問いただすと、帰ってきた言葉は至極簡単で。
「驚かせたくて」
「テヘッじゃねーですよ!かわいこぶらないでください!!」
握りこぶしを頭でこつんとやってみせる湯沢部長。
正直可愛い。可愛いんだよこの野郎!!
でも、それとこれとは話が別だぞこんちくしょう!!
少し涙目になった私に、流石に可哀想だと気付いてくれた伏見副部長が「ごめんな」って言ってくれました。
八の字眉になっている伏見副部長も可愛いなー。
でもごめんって言うくらいなら、事前に話していてもらいたかったです。
「という事で、明日練習試合をすることになりました」
「・・・え?」
あのあと、他のマネに言うの面倒だから、伊織言ってきてと言われ、沈んだまま近くを通った透を呼び止めたわけですが。
事情を話すと、透もぽかーんと間抜け面。
ま、そうなりますよねー。
「え?ちょっと待って・・・・・・え?」
「透、落ち着いて」
「落ち着いてる、落ち着いてるよ!でも、え?明日!?」
「そうだよね。そうなるよね普通は」
「どこと!?」
「柿ノ木中」
「ああ、柿ノ木か」
「そう、柿ノ木です」
あのよく分からない程度にしか知らない、柿ノ木中です。
くきくん(漢字忘れちゃった)と言う嫌味な子がいた、あの柿ノ木中です。
透も思い出したのか、柿ノ木と聞いた瞬間に見る間に落ち着きを取り戻しました。
「あーあーあー・・・・・・分かった。明日ね」
「そう。・・・で、マネは5人もいらない、よね?分担どうする?」
「あー、そっか。行くのはレギュラーだけ?」
「そうなる、かな?」
「うーん」
私としてはどっちでもいいんだけど、って言ったら透もどっちでもいいらしい。
じゃあ、あとの3人に聞いてみよう、と言う事になりました。
で、聞いてみたら「私もどっちでもいいー」「どっちに行ってもそんなに変わりないしー」「ねー」と言うお言葉。
「じゃあ、私たちが練習試合の方に行こうか?」
「そうだね、私と透が練習試合で、3人はいつも通りということで」
「わかったー」
「頑張ってね!」
「後でレギュラーの活躍を聞かせてね!」
人数的に私と透が練習試合についていくことになりました。
3人も特に問題ないらしく、そのままの流れでこの日のマネ活動は終了したのでした。
さて、柿ノ木中との練習試合。
何も起こらないといいのだけれど。
ちょっと不安。
続
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