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第35話 reincarnation

なんだ、案外いい子たちじゃん。

私と透以外の3人のマネの子たちに対する私の第二印象は、こんな感じだった。






第35話






最初はただのミーハーだと思ってた。(だって化粧してるし、話し方とかキャピキャピしてるし)
でも人って見た目で判断しちゃダメなんだったよ!
この子たち、思ってたよりもすっごくいい子かも!


「あ、秋原さーん」


そう言いながらこちらに向かって走ってくるのは、綺麗にブローのかかった髪をふわふわさせてる、背の高めな桃月さんだ。
あれから一週間経ったけど、彼女たちは話してみると思ってた以上にいい子で、本当にごめんなさいって感じだ。(罪悪感で胸がズキズキするよ)
ミーハーの気はあるものの、結構さばさばした性格みたいで、マネの仕事が分からないから教えてほしいと言われたときは、本当に嬉しかった。
マネの部室を見た時の彼女たちの反応といったら。(何で言ってくれなかったのかと、怒られてしまったくらいだ)


「なーに?桃月さん」
「ドリンクの粉がね、どこにあるのかわからなくってさー」


教えて?と首を傾げる仕草は、本当に可愛い。
あーこの子、抱きしめたくなるわ。
彼女たち3人は、見た目ギャルっぽいけど、手先は器用だし、容量もいい。
最初はマネの仕事を何にも知らなかったみたいだけど、一週間一緒にマネをしていて、今ではほとんど覚えてしまっている。(それでも分からないときは教えてほしいと言ってきてくれるし)
マネの仕事は多くて、私と透の2人で大丈夫か心配してたけど、3人がいてくれてよかったと今では素直に思える。

大体のところ、3人が特別ミーハーなんかじゃなくて、私たち2人が枯れすぎてるってだけなのかもしれないし。(枯れるって表現、ちょっと嫌かも…)

そこそこマネの仕事も終わって、一息つけると思ったとき、透と島崎さんと山川さんもそばに寄ってきた。
そこで開口一番、山川さんは言ってきた。


「ね、ね!秋原さんと笹本さんは、誰がタイプ?」
「へ?」
「は?」


山川さんは肩までの髪を毛先だけ内に巻いている、ちょっとおっとりした雰囲気の子で、島崎さんは泣き黒子が見目麗しい、大人な雰囲気の子だ。
その2人も、2人と並んで立っている桃月さんも、なんだかにこにこ笑顔だ。(ちくしょう、可愛いな)


「えーと…何の話?」
「決まってんじゃん!恋バナ!テニス部の中では秋原さんと笹本さんは誰が好き?」
「い、いやぁ…誰が好きと言われても………ねぇ、伊織?」
「(うわ!私に話を振らないでよ!)うーん、そう言った目では見たことないかなー…なんて」
「えー?じゃあ誰が気になる?私はぁ~…やっぱり湯沢部長かなぁ~」
「夏美面食い~。私的には、幸村くんとか格好いいと思うんだけどー」
「京子も面食いじゃん!…私は仁王君!すっごく格好いいと思うんだ!」
「わかるわかる!幸村くんもいいけど、仁王くんも超格好いいよね!」
「…私、今日仁王くんにちょっと声かけてみようかなー」
「あ、順子ずるい!じゃあ私は部長にタオル持っていくときにお話してみよっと」


わ、若い…!
そのテンションの高さには、もうついていけないよ!
私にもこんなときがあった………あったっけ?(あれ?あったっけ!?)

……いや、誰しもあるはずだよ!
こんなエネルギッシュで若々しいフレッシュな時代が!(きっと!)


「ジェネレーション・ギャップってやつですかねー」
「きっとそれだねー」
「ん?何か言った?」
「いいや、何でもないー」
「ほら、タオル持って行くんでしょ?」
「あ!そうだった!……ていうかさ、秋原さんも笹本さんも、面白いよねー」


それはどういう意味なんだろう?(若さがなければ分かりえないとでもいうのか!)

そのまま休憩は終了し、なし崩し的に会話も強制終了させた。
タオルを持って走って行く3人はホント、元気だなー。(は!こう言うところが年齢を感じさせるのか!?)
さっきまで、誰が誰に持っていくかをキャンキャン話していたけれど、結局はじゃんけんで決まったみたいだ。
誰がどこに行こうがどうでもいいんじゃないかなーとか思うのは私が枯れてるからなのか。
はたまた性格からなのか。(…もうどっちでもいい)


なんか、疲れた。
私たちって、思ってたよりも叔母さんだったね。
それは言ったらダメなんじゃないかなー。
…それもそうだね。ごめんよ。
いいってことよ。


アイコンタクトは終了させて、2人して大きなため息を吐いたのだった。










ふむ。
立海大付属男子テニス部部長の湯沢は、顎に手を当てて思考を巡らした。
今日で部員が入部してから一週間が経った。
つまりは、マネージャーが入部して一週間目という事で、正式なマネージャーが決まる日でもあった。
今のこの部活が終了した後に、彼女たちが正式にマネになれるかどうかの話し合いがあり、そのあと彼女たちに通達が行くようになっている。
伊織と透の2人は、すでに初日に正式なマネージャーとして男子テニス部に入部していた。
あの2人がいれば、正直他の子たちには辞めてもらおうかとさえ思うほどに、伊織と透はマネの素質があった。
要領がよく気配りも出来、尚且つ部員に信頼されている。
これ以上ないくらいの好条件な彼女たちがいれば、満足だと思っていたが。
しかし。

視線の先にはドリンクボトルを洗っている伊織と透、そして視線をずらすとタオルを配っている3人のマネ候補。

一週間、見て来て思ったことは、全員が正式なマネージャーたり得るという事だった。
確かに、初めこそ仕事内容が分からないと、伊織と透の足を引っ張っていたようにも見える彼女たちであったが、少しずつマネの仕事を覚え、今では5人一緒に仕事をするまでになった。
朝練も遅刻せずにくるし、仕事もきちんとこなす。
少々お喋りが目立つが、それも特に問題がない範囲だ。
伊織と透も彼女たちを気に入っているし、なにより、よく笑っている。

いじめや仕事の押し付けなど、要らぬ気を回していたけれど。
心配はいらないみたいだな。


「今年は本当に、豊作だな」


部員もマネージャーも、素晴らしい子たちばかりだ。
そう言って、湯沢は部室へと足を向ける。
嬉しそうに笑む頬を隠しもせずに、湯沢は口元を緩めた。
自分が部長になってから、こんなにいい出会いがあるとは思ってもいなかった。
だからこそ、嬉しく思う。

すでに集まっているだろう、レギュラーたちに自分の意見を聞いてもらうために、湯沢は足取り軽く部室へと入って行った。





本日、新たに正式なマネージャーが3人、男子テニス部に誕生したことは言うまでもないだろう。










結局入れちゃった^^
何か、書いてて可愛くなってきちゃったよ、特に桃月さん 笑
この後どうしよう、とか思ってる自分www

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