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私と透だけ先に更衣室で体操服に着替えました。
男テニに部室はあるけど、マネの部室があるかは分からないし。(二度手間とか嫌だしね!)
更衣室でもそもそお着替えしまして、私と透だけ体操服で4人並んで歩いた。(何か変な感じ)
第29話
昇降口を出て向かう先はテニスコート。
そういえば、まだ入部届け出してないや。
聞けば透も弦一郎もゆっきでさえ出してないらしいから、テニスコートで出せばいいか。
伊織はのほほんとそんなことを思った。
「ぅわ…」
「何これ」
「これが普通らしいけどね」
「…けしからん」
テニスコートに着いた私たちの第一声は各々にこんな感じだ。
印象としては、飴に群がるたくさんの蟻たち、って感じ。
……恐い。(ガタガタ)
「ね、本当にここテニスコート?」
「正真正銘テニスコートだよ」
「だよね」
隣にいる幸村に確認してみても、いくら現実逃避してもここが立海のテニスコートなのは変わらない事実。
しょっぱなから大きなため息がつけそうです。
「君たちは入部希望?」
いきなり後ろからかけられた声に振り向けばそこにいたのは………誰?
きっと先輩だろうと推測して、私たちは縦に首を振った。
そんな私たちを見た先輩(らしき人)は私たちをテニスコートわきに立っている部室まで招いてくれた。
私たち普通についてっちゃってるけど、いいのかな?
透もどこか不安そうに隣にいる弦一郎を見上げていた。
先輩は私達もうなずくのを見て、マネージャー希望であるとわかったらしくニコッと微笑んでテニスコートを指さした。
「あそこのベンチの真ん中に座っている人がテニス部部長の湯沢だよ。俺は彼らに少し話があるから、君たちは先に部長に入部届けを出してきてくれ」
「あ、わかりました」
「行こう、透」
先輩が指さした先は、飴に群がる蟻たちの向こう側。
フェンスに遮られて一般生徒じゃ立ち入ることのできないテニスコート。
……あそこを私たちだけで通るのか。
とにかく行くしかないと覚悟をきめて、いざゆかん!
…とはいうものの、けしからんな。
非常にけしからん。
通れぬではないか!!(弦一郎風)
チクショウ!どかんか!!
「ちょ、どいて!」
「何よあんた!」
「押さないでよね!」
「順番守りなさいよ!」
「いいからさっさとどけっつーの!」
「何よこの女!」
「最悪!!」
「チッ……きりがないな」
「ね、伊織。これ無理じゃない?」
「でも、ここを通らないと中に入れないし」
もー!イライラすんな!
どけって言ったらどきなさいよ!!
こうなったら強行突破!!
「透!」
「え!?」
透の手をつかんでフェンスの入口までダッシュ!
女の子たちの間をするすると擦り抜けて(運動神経は良いんだよ!)入口を開けるとサッと透を押し込んで自分の身体もねじ込んだ。
どうだ、参ったか!(何が)
フェンスの向こうにいる女の子たちが何やら騒いでいたけど気にしない!
さっさと部長とやらに入部届けを出しに行こうじゃないか。
「よし!透行こう」
「うん、ありがと」
「いえいえー」
律儀にお礼を言ってくる透に、にししと笑って部長が座っているベンチまで歩いた。
「すみません、部長の湯沢先輩ですか?」
「ああ、そうだよ。君たちは入部希望かい?」
「はい。私たち、マネージャー希望です」
「そうか。入部届けをくれるかな」
「どうぞ」
「はい」
部長は切れ長の目に、黒い髪が似合ってる。
耳にかかるかかからないかくらいの髪型が凄く涼しげで、雰囲気も涼しい。
日本美人系の綺麗な顔立ちだ。(さすがテニス部)(綺麗どころはゆっきたちだけじゃなかったのか)
部長は私と透の入部届けを確認して、顔を上げると名前を聞いてきた。
「私が秋原伊織です」
「笹本透です」
「小さい方が秋原さんで、高い方が笹本さんね」
「(小さいって言われた!)…そうです」
「…はい」
「俺は湯沢大輔。男子テニス部の部長だ。これからよろしく」
「はい、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします!」
思ったよりもあっさり入部出来ちゃったけど、なんかありそうだな。
まぁ、今考えてもどうしようもないから考えたりはしないけどさ。
普通にしてれば大丈夫でしょ。
「もう少ししたら説明をするから、マネージャーの部室にいてくれ」
「マネージャーの部室?」
「マネージャー専用の部室だ。あそこだよ。先に何人かいるから一緒に待っててくれ」
「わかりました」
マネの部室とかってあったんだ?
透を見ると首を横に振られた。
透も知らなかったのか。
湯沢部長が指さしたのは、男テニの部室の横に並んで建っている一回り小さな部室。
あそこがマネ専用部室ね。
「失礼します」
「失礼しまーす」
透と並んで部室に入ると、3人ほど先に女の子たちが部室にある椅子に座って待っていた。
話を中断し、こっちをちら見して、また話をしだした。
思うに、この年頃の女の子って本当に礼儀知らずだよね。(可愛くねぇ)
私は透に目配せをして中に入ったけど、椅子の予備がないから私達は部屋の隅で立っていた。
「ね、透。この部屋ってさいつも使ってると思う?」
「…思わない。すっごく汚いもん」
「だよねー」
この部室、めちゃくちゃ汚い。
床に埃が溜まってるし、棚の中もごちゃごちゃしてる。
昔の部誌とかあるけどその上にも埃が溜まってる。
慣れてきたらここの掃除もしなきゃだな。
「透、頑張ろうね!」
「もちろん!」
「ここら辺の部誌ってさ読んでいいと思う?」
「いいんじゃないかな?別に隠すようなものでもないでしょ」
「そっか」
目についた部誌を棚から出して、中を読んでいく。
年季が入ってるなー。
「うわ、これ5年前の部誌だよ」
「こっちは7年前。紙が黄ばんでる」
ぺらぺらと部誌をめくって、どんなことをやってきたのかを見ていると部室の扉がガチャと音をたてて開いた。
「待たせたね。紹介と説明をするからこっちに来てもらえるか」
やっと部活が始まる。
続
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