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リョーマ以外で、初めてのテニキャラとの接触が、まさか真田だとは思ってもいなかった。
どうせなら柳が良かったなとか思ったのは、私だけの秘密である。(伊織にはばれていそうだが)
番外 剣道をやってみた(透視点)
あれから入学式までまだ2カ月あるというので、真田の祖父が土日にやっているという剣道道場へと通うことになった。
なにがきっかけかというと、真田家の長男アンド次男であることは、まず間違いなかった。
「そういえば、透ちゃんって何かスポーツとかやってる?」
「ううん、何もやってないよ」
「俺と弦は剣道をやってるんだ。それに弦はテニスもやってるんだよ」
「へー」
「よかったらさ、一緒に剣道してみない?」
「えっ」
「なー、弦も一緒にやりたいよな!」
「む?」
「弦も透ちゃんと一緒に剣道したいだろ?」
「……透さえよければしてみるといいのではないか?」
「…」
「ね、ね!どうかな?弦もああ言ってるし、どうかな?」
「なにも運動をしないよりは、少しくらい動ける方がいい」
最後の真田の言葉が決定打だったのか、運動が全くできない未来の自分を思い浮かべたことが決定打だったのかは定かではないが。
なにはともあれ、透は真田の祖父のやっている剣道道場に週に2回、土日のみ通うこととなったのだった。
そして、やってみて思ったことは、剣道って意外に楽しいということだった。
最初はあの防具の匂いだとか、竹刀の握り方だとか、いろいろ大変だったけれども、通うにつれて様になってきたのは事実であったし、真田兄弟とだんだんと打ち解けて行ったのも楽しいと思える要因ではあった。
「ったぁ!」
「ぬ!」
「胴!」
「甘い!!」
「っ!」
「一本!!」
初めての練習試合の相手は真田で、一瞬本気で顔が青くなったのは御愛嬌である。
だいたい何で初めての相手が真田かというと、真田以外の道場に通う人たちがみんな年配ばかりだったという単純な理由だった。
真田のほかに透と近しい年齢は真田の兄、誠。
しかも、その誠は真田よりも強いというのだから、初心者にはたまったもんじゃない。
だから、毎回透の練習試合の相手は真田だった。
そのおかげか、2か月ほど経つ間に、素晴らしい速度で上達していったのは目に見える程であったろう。
真田家の祖父も目を見張るものがあったとか。
透は知らず知らずのうちに、身体能力というものが格段に上がったのにまだ気づいていなかった。
「ねー、弦一郎はいつから剣道をやってるの?」
「…4歳くらいには竹刀を握っていたと思うが、確かな年齢は覚えていないな」
「ふーん……じゃあ、テニスは?」
「テニスは去年からだ」
「じゃあ、まだ始めたばっかりなんだね」
「ああ」
夕食を真田家でとった透は、真田の部屋で2人話しをしていた。
土曜の稽古の後に、真田家で夕飯をとりそのまま真田の部屋で世間話をするというのが、最近の2人のスタイルになってきていた。
真田と話をするのは楽しい。
それは話の裏側が見れるから、という不純な動機もあるのだが、それすらなくとも楽しかった。
幼稚園で何をしたか、今週は何があったか、真田の話、自分の話。
テニスはどうだ、剣道はどうだ。
そんなどうでもいいことばかりだが、それがすごく楽しかった。
それに真田は、こう言ってはなんだが、年相応には見えない。
話し方もなんだか年食っている感じだし、考え方も大人びている。
だからか、同じ年頃の子どもたちと話をするよりも話しやすく感じてしまう。
それは、自分の精神年齢が関係していることだから口にはしないが。
だから真田と話すときは普通に話せるから楽と言ったら楽だった。
もちろん、真田より年齢の上の誠とも話すのは楽しいけどね!
伊織と離れたのは少し寂しかったけど、でも真田のおかげで今日も楽しかった!
また伊織にメールでもして、真田のこととかいろいろ話そう!
離れてても私たちなら大丈夫!(だと思う!)
続
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